2024年1月22日月曜日

著作権法「廃墟写真事件」の廃墟写真1~5と同じ被写体・構図で撮ってみた

 商標弁理士のT.T.です。
 著作権法の有名事件に「廃墟写真事件」(東京地裁 平成19年(ワ)451等)というのがありまして、被告が撮影した次の廃墟写真1~5を「廃墟遊戯」「廃墟漂流」といった被告写真集に掲載したところ、同じ被写体・構図で撮影された原告廃墟写真の著作権(翻案権等)を侵害しているとして、訴えられた事件です。 

1.旧丸山変電所の建物内部

2.足尾銅山付近の通洞発電所跡(建物外観)

3.大仁金山付近の建物外観

4.奥多摩ロープウェイの機械室内部

5.奥羽本線旧線跡の橋梁跡

※原告・被告写真の実物は、「「廃墟写真事件」は何が問題だったのか? 創作活動における著作権の判断ポイント - BUSINESS LAWYERS」をご参照ください(https://www.businesslawyers.jp/articles/46)。

 東京地裁は、廃墟を被写体として選択した点はアイデアであって表現それ自体ではないとし、また、原告写真1~5における被写体及び構図ないし撮影方向そのものは、表現上の本質的な特徴ということはできないといった理由から、著作権(翻案権等)の侵害を認定しませんでした(控訴・上告も棄却)。

 

 さて、「廃墟写真事件」の判決に従うならば、私だって、単に、原告と同じ構図で同じ廃墟を撮ったとしても、著作権侵害にはならないはずです!そこで、事件発生後10年以上経過してしまいましたが、争われた1~5の廃墟たちが現在どうなったのか、原告・被告と同じ構図で撮ってみることにしました。 

■廃墟写真1.旧丸山変電所の建物内部(群馬県安中市)
 「旧丸山変電所」は、JR信越本線・横川駅から、信越本線廃線跡を舗装した「アプトの道」を登り続けること約30分で到着します。

(写真:信越本線・横川駅)