商標弁理士のT.T.です。
突然ですが、自宅のカギに取り付けていたストラップがぶっ壊れました。
さすがに見栄えが悪いので、新しくキーホルダーを取り付けることに。キーホルダーといえば、そこは弁理士らしく「ドラゴン・キーホルダー事件」のキーホルダーとかいかがでしょうか?「ドラゴン・キーホルダー事件」とは、被告が製造・販売するキーホルダーが、原告の製造・販売するキーホルダーの形態を模倣したとして、不正競争防止法2条1項3号(商品形態模倣行為)等に基づいて、差止・損害賠償等を請求した事件で、東京高裁は、原告商品が「頭部が一個の通常の竜」であることに対し、被告商品の「双頭の竜」が向き合ったデザインは、「独自の形態的な特徴」を有し、両者の大きさも相当違いがあるといった理由から、両者の形態が酷似しているとまでは認め難く、実質的に同一であると認められないとして、請求を棄却しました(東京高裁
平成8年 (ネ) 6162号)。
つまり、原告「ドラゴン・ソード」が、被告「ドラゴン・ソード」に対し勝負を挑み、不競法2条1項3号に基づき権利行使しようとしたところ、不発に終わったことから、タイトル通り、「伝説」というか・・・もはや「幻」の知的財産権(剣)になってしまった訳です。
ところで、「ドラゴン・キーホルダー事件」(東京高裁 平成8年 (ネ) 6162号)は、平成一桁台と、まあまあ古い事件のため、その痕跡を追うことが大変です。
調べた限り、被告の方は、社名を変更し、現在はご当地キティ―を中心としたサンリオグッズを専門に取り扱っているようで、「ドラゴン・ソード」キーホルダーを販売している様子は伺えませんでした。原告に至っては、会社自体が現存しているかも不明。
つまり、原告版・被告版共に「ドラゴン・ソード」キーホルダーは絶版なのです。即ち、タイトル通り、「ドラゴン・ソード」キーホルダーは、判決文上でしか存在しない「伝説の剣」になってしまった訳です。
そうすると、「ドラゴン・ソード」キーホルダーを購入することは不可能なのでしょうか?
いいえ、そこで借りたのがシェアリングエコノミーの力、メルカリです。
私の経験上、伝説の書籍「特許法概説 第13版」(著者:吉藤 幸朔)や「商標法
第6版」(著者:網野誠)ですら、メルカリで購入できたのだから、伝説の「ドラゴン・ソード」だってメルカリにあるはずに違いないです!
そんな宝探し気分でメルカリを探っていたら、原告版「ドラゴン・ソード」を発掘しました(「値下げ◇キーホルダー 昭和レトロ 龍剣+龍 2個セット」)。他の弁理士に先取りされる前に即購入し、オマケのキーホルダー付き、送料込みで、400円でした。実質127.5円(=(400円-送料145円)÷2個)。伝説の剣とは?
改めて、私が購入した「ドラゴン・ソード」と、判決文の原告「ドラゴン・ソード」を比べてみると、双刃の洋剣や、それに螺旋状に巻きついた竜の形状は、完全一致しており、「縦約六・八センチメートル、横最大幅約二・七センチメートル」の大きさも一致しています。
もしかして、私が購入した「ドラゴン・ソード」は、正真正銘デッドコピーなのか?それとも、ポケモンでいう色違いのレアものなのか?
ちなみに、「ドラゴン・ソード」の購入場所について、メルカリ出品者に質問しましたが、貰い物だったので分からないとの返答が来て、その出所は追えませんでした。せっかく、キーホルダーとして使用する他に、コレクション用にもう1個入手しようと思っていたのに、残念。
そういうことで早速、購入した「ドラゴン・ソード」を鍵に取り付けました。これで、「伝説」のドラゴン・ソードを装備した弁理士であるT.T.は、「伝説の弁理士」の称号を手にしたといっても過言ではない!
(T.T.)
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