2022年3月8日火曜日

伝説の知的財産剣(?)「ドラゴン・ソード(原告版)」をゲットだぜ!【不競法2①3】

 

 商標弁理士のT.T.です。

突然ですが、自宅のカギに取り付けていたストラップがぶっ壊れました。 

 さすがに見栄えが悪いので、新しくキーホルダーを取り付けることに。キーホルダーといえば、そこは弁理士らしく「ドラゴン・キーホルダー事件」のキーホルダーとかいかがでしょうか? 

ドラゴン・キーホルダー事件」とは、被告が製造・販売するキーホルダーが、原告の製造・販売するキーホルダーの形態を模倣したとして、不正競争防止法2条1項3号(商品形態模倣行為)等に基づいて、差止・損害賠償等を請求した事件で、東京高裁は、原告商品が「頭部が一個の通常の竜」であることに対し、被告商品の「双頭の竜」が向き合ったデザインは、「独自の形態的な特徴」を有し、両者の大きさも相当違いがあるといった理由から、両者の形態が酷似しているとまでは認め難く、実質的に同一であると認められないとして、請求を棄却しました(東京高裁 平成8 () 6162)。


(左:原告商品 右:被告商品)

つまり、原告「ドラゴン・ソード」が、被告「ドラゴン・ソード」に対し勝負を挑み、不競法2条1項3号に基づき権利行使しようとしたところ、不発に終わったことから、タイトル通り、「伝説」というか・・・もはや「幻」の知的財産権(剣)になってしまった訳です。

ところで、「ドラゴン・キーホルダー事件」(東京高裁 平成8 () 6162号)は、平成一桁台と、まあまあ古い事件のため、その痕跡を追うことが大変です。

調べた限り、被告の方は、社名を変更し、現在はご当地キティ―を中心としたサンリオグッズを専門に取り扱っているようで、「ドラゴン・ソード」キーホルダーを販売している様子は伺えませんでした。原告に至っては、会社自体が現存しているかも不明

つまり、原告版・被告版共に「ドラゴン・ソード」キーホルダーは絶版なのです。即ち、タイトル通り、「ドラゴン・ソード」キーホルダーは、判決文上でしか存在しない「伝説の剣」になってしまった訳です。
 そうすると、「ドラゴン・ソード」キーホルダーを購入することは不可能なのでしょうか?

いいえ、そこで借りたのがシェアリングエコノミーの力、メルカリです。
 私の経験上、伝説の書籍「特許法概説 第13」(著者:吉藤 幸朔)や「商標法 第6版」(著者:網野誠)ですら、メルカリで購入できたのだから、伝説の「ドラゴン・ソード」だってメルカリにあるはずに違いないです!

そんな宝探し気分でメルカリを探っていたら、原告版「ドラゴン・ソード」を発掘しました(「値下げ◇キーホルダー 昭和レトロ 龍剣+龍 2個セット」)。他の弁理士に先取りされる前に即購入し、オマケのキーホルダー付き、送料込みで、400でした。実質127.5(=(400円-送料145円)÷2個)。伝説の剣とは?


(写真:ドラゴン・ソードとおまけ)

改めて、私が購入した「ドラゴン・ソード」と、判決文の原告「ドラゴン・ソード」を比べてみると、双刃の洋剣や、それに螺旋状に巻きついた竜の形状は、完全一致しており、「縦約六・八センチメートル、横最大幅約二・七センチメートル」の大きさも一致しています。

 ただし、一致していない部分もあり、原告商品には、紅色のガラス玉が、私の「ドラゴン・ソード」には、蒼色のガラス玉がはめ込まれています。また、原告商品は、「金属的光沢を有する黒味を帯びた銀色」のようですが、私の「ドラゴン・ソード」は、キンキラ金色です。さらに、本体とリング部を結合する「連結部」もよく見ると違います。

もしかして、私が購入した「ドラゴン・ソード」は、正真正銘デッドコピーなのか?それとも、ポケモンでいう色違いのレアものなのか?

ちなみに、「ドラゴン・ソード」の購入場所について、メルカリ出品者に質問しましたが、貰い物だったので分からないとの返答が来て、その出所は追えませんでした。せっかく、キーホルダーとして使用する他に、コレクション用にもう1個入手しようと思っていたのに、残念。

そういうことで早速、購入した「ドラゴン・ソード」を鍵に取り付けました。これで、「伝説」のドラゴン・ソードを装備した弁理士であるT.T.は、伝説の弁理士の称号を手にしたといっても過言ではない!

・・・・・・・と名乗るのは、あと50年早い!

T.T.


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