はじめまして
商標部門新人弁理士のD.Mです!
僭越ながら初投稿させて頂きます。
4月に入所して早くも5か月が過ぎようとしていますが、まだまだ新人研修の真最中。時には厳しく、そして時には厳しく、尊敬する先輩方にご指導していただいています!
そんな中、先日、商標の判例を発表する研修がありました。
テーマは「商標の類似」。
新人たる者、基礎が肝心ということで、判例を通じて「商標の類似」について調べてみました。
まず、拒絶される商標を規定する第4条の中に、以下のような規定があります。
第4条第1項第11号(先願に係る他人の登録商標)
当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であつて、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの
簡単に言ってしまうと、「先に出されている登録商標と同一又は類似の商標は登録されない」といったことが書いてあります。(なお指定商品役務同士も同一又は類似の必要があります。)
では、具体的に「類似」とはなんでしょうか?
実は条文には書いてありません。
「見た目」が似ていれば類似なのか
「読み方」が似ていれば類似なのか
「意味」が似ていれば類似なのか
「類似」といっても、様々な類似が考えられると思います。
そこで今回は、商標の類似が争われた「氷山印事件」を紹介させて頂きます。
指定商品:旧26類 硝子繊維 指定商品:旧26類 糸
理由は、称呼が似ているから。つまり「読み方」が似ているとして特許庁は類似と判断しました。(なお、指定商品同士は類似します。)
具体的には、本件商標から「ひようざん」の称呼が、引用商標からは「しようざん」の称呼が生じ、異なる点は、語頭の「ひ」と「し」のみであることから類似と判断されました。
しかしながら最高裁では、
商標の類否は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによつて決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によつて取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする。
と述べられ、結果的には非類似との判断がなされました。
簡単にポイントを整理すると、
① 商標の類否は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれで判断していく。
具体的には、
外観、観念、称呼等によつて取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に
考察していく。
考察していく。
② 商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づ
いて判断していく。
の2点が重要と思われます。
まず、ポイント①
商標の類否は、見た目だけ、読み方だけ、意味だけで判断するわけではなく、見た目・読み方・意味等から総合的に判断していき、商品役務の出所が混同するかどうかで判断をしていくべきだと述べられています。
今回のケースで言うと、本件商標の指定商品である「硝子繊維」は高価なものであり、専門知識を有する人しか購入しないといった実情がありました。
この実情が考慮され、高価なものを専門家の方が購入する場合には、より一層の注意をして購入をするとして、商標の称呼だけが似ていても、外観や観念が異なるため、混同しないとの判断がなされました。
個人的にはこの判断手法は正しいと考えています。人間が類似を判断する場合には、単純に「見た目」だけ、「読み方」だけ、「意味」だけ、で判断するのではなく、それらを混在させたイメージで判断をすると考えるからです。
以上簡単にですが、氷山印事件について紹介させて頂きました。
改めて読み直してみると様々な発見があり、まだまだ勉強することが多いなと実感しております。今後とも学びを怠ることなく、常に知識を吸収していきたいと思います!
新人弁理士D.M
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