かつて一人暮らししてた時、毎日の夕食が、ほぼカレーだった商標弁理士のT.T.です。
そんなカレーを愛してやまないT.T.にとって、興味深い商標事件といえば「激馬かなぎカレー事件」です。
「激馬かなぎカレー事件」とは、金木町の地域活性化事業として、NPO法人かなぎ元気倶楽部により考案された「激馬かなぎカレー」の名称が、第三者の先取り的出願により商標登録(登録5346443号)されたものの、「(第三者の出願行為は、)事業の遂行を阻止し、公共的利益を損なう結果に至ることを知りながら、……利益の独占を図る意図でしたものであって、剽窃的なもの」であるとして、公序良俗違反(商標法4条1項7号)により、商標登録が取消となった割と有名な事件です(知財高裁 平成23年(行ケ)第10386号 cf.母衣旗事件)。
この「激馬かなぎカレー事件」は、剽窃的出願事件独特の(カレーなだけに)ドロドロとした展開も面白いですが、おそらく「激旨」と「激馬」をかけ合わせたであろう光るネーミングセンスに惹かれるのです。
・・・ということで、都内から列車を乗り継ぐことXX時間、青森県五所川原市金木町「芦野公園駅」へ、激馬かなぎカレーを食べにやってきました。
そして、これが「激馬かなぎカレー」。名前の通り、地元産の馬肉が入っていることを特徴としており、福神漬けの代わりに高菜の漬物が添え付けております。
じっくり煮込まれたカレーは、とても「激旨」でしたが、私が思う「激馬」とはちょっと違うような気がしました。すなわち、「激馬」というからには、ラーメン二郎「ぶた入りラーメン」の如く、「馬肉がめちゃくちゃ入っている」みたいなカレーを個人的にイメージしておりましたが、実物は特に肉肉しいカレーではありません。
先程も述べたように、「激馬かなぎカレー」の「激馬」とは、常識的に考えれば「激旨(とても旨い)」をもじったダジャレなのは明らかですが、商標審査基準的には、直接的に「とても旨い」と言っているわけではないのです。だから、「激馬」から、「とても旨い」だけでなく、「馬肉がめちゃくちゃ入っている」みたいな意味合いを解釈しても良いはずなのです。
このように、「激馬かなぎカレー」のような造語商標は、普通名称・慣用商標・記述的商標と比べても、様々な解釈ができるので、とても面白いですね。
ところで金木町は、作家「太宰治」の出身地でもあり、「津軽三味線」発祥の地でもあります。また、金木町を通る「津軽鉄道」は、日本最北端の私鉄であり、風鈴列車・鈴虫列車・ストーブ列車等、観光列車に力を入れています。
そのため金木町は、文学・歴史マニア、邦楽マニア、鉄道マニアが集う大変盛況な場所でした。もちろん、激馬かなぎカレーを食べるために、金木町へやってきた商標マニアは自分だけでしたが・・・
(T.T.)
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