商標弁理士のT.T.です。
群馬県知事が法的措置を検討してしまうほど、たびたび話題になる「都道府県魅力度ランキング」によると、2021年は、茨城県が最下位だったとのこと。それは嘘だ!
なぜなら、「HOKOTABAUM事件」という大変興味深い商標事件が茨城県にはあるから、茨城県が魅力的でないはずがありません。
「HOKOTABAUM事件」とは、文字商標「HOKOTABAUM」として、第30類「鉾田市産のバウムクーヘン」を指定商品とした商用登録出願(商願2014-86622)について、「HOKOTA」から茨城県鉾田市を容易に認識させ、「BAUM」からバウムクーヘンを認識させ、菓子業界において、バウムクーヘンを表示する際に、地域名と「バウム」を組み合わせた標章が用いられていることから、その全体から、鉾田市を産地又は販売地とするバウムクーヘンという意味が認識されるといった理由により、商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標(商標法3条1項3号)であるとして、商標登録が認められなかった事件で、商標の識別性判断における割と重要な判決であります(知財高裁 平成28年(行ケ)第10109号)。
さて、「HOKOTABAUM」は、その標章が示す通り、茨城県鉾田市にある「深作農園」のバウムクーヘン専門店「ファームクーヘンフカサク」で販売されています(https://farmkuchen.com/)。もちろん、このご時世、「HOKOTABAUM」を通信販売で買うことも容易ですが、やはり、その観念が示す通り、リアルに「鉾田市で販売されている」ものが欲しくなってくるのが商標弁理士の宿命(?)。
・・・ということで、第三セクター鹿島臨海鉄道の「大洋駅」(茨城県鉾田市)へやってきました。
そこから、国道354号線と国道51号線を歩き続けること約40分、「ファームクーヘンフカサク」にたどり着きました。
ところで、「ファームクーヘンフカサク」では、バウムクーヘンの商品名として「HOKOTABAUM」は現在使用しておらず、「Farmkuchen(ファームクーヘン)」へ改名されたようです。「HOKOTABAUM事件」は、商標の識別性を争った事件なので、商標登録ができないからといって、「HOKOTABAUM」の名称が使用できなくなる訳ではありませんが、ここは、誰でも使用できる名称でなく、より独自性のある名称で売り込みたいという意図があったのでしょうか?
もちろん、「ファームクーヘン\FARM KUCHEN」は、深作農園の経営者により、商標登録されています(登録5321452号 第30類「菓子及びパン」等)。
ここで購入したのが、「ファームクーヘン」と「HOKOTA苺ばうむプレミアム」です。
ちなみに、鉾田市は、メロンの産地として有名であり(生産量1位)、深作農園で生産されたメロンを使用した「HOKOTA Melon Baum プレミアム」もあります。こちらの方は、商標登録されています(登録5868132号)。ただし、「HOKOTA Melon Baum プレミアム」は要予約なので、当日にフラっと立ち寄って購入することはできません。
「ファームクーヘン」も「HOKOTA苺ばうむプレミアム」も、じっくりお家でおいしくいただきました。ここのバウムクーヘンは、他者のものと比べて柔らか食感であることを特徴としており、登録商標「ファームクーヘン\FARM KUCHEN」(登録5321452号)から暗喩されるが如く、自然の優しさで作られたバウムクーヘンであることを感じさせられました。
さて、「HOKOTABAUM」の「深作農園」では、バウムクーヘン専門店「ファームクーヘンフカサク」だけではなく、農場体験・バウムクーヘン手作り体験といったアクティビティや、洋菓子店「LE・FUKASAKU(ル・フカサク)」で深作農園産の作物入りスイーツなども楽しむこともできます。
また、「深作農園」は、最寄り駅から40分も歩くので、公共交通機関で行くのは大変ですが、国道51号線に面したロードサイド店舗であるため、自家用車でのアクセスは非常に容易です。そのため、「深作農園」は、すごくごった返してました・・・カップルで。
「HOKOTABAUM」は、商標の勉強・研究のためではなく、デートに活用することをお勧めいたします!
(T.T.)
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