先々週ですが、カンボジアのプノンペンに行ってきました。日本弁理士会とカンボジア知財協会(Intellectual Property Association of Cambodia, 以下、IPAC)との交流会に参加するためです。
プノンペンを訪問するのは3回目ですが、訪問するたびに現地の人々のエネルギーに圧倒されます。「俺も頑張らなくちゃ!」という気になりますね。
交流会では、IPACのメンバー向けにセミナーを開催しました。テーマは、「日本における知的財産権の行使」です。その中で、私は、日本における知的財産権侵害訴訟の概要について説明しました。カンボジアでは、最近、トレードマーク・エージェント制度ができましたが、パテント・エージェント制度は未だありません。すなわち、知的財産保護制度や弁理士制度などは、未だ、発展途上です。ですので、知的財産権の行使についてのセミナーを開催しても、聴講者は本当に集まるのかどうか不安でした。しかしながら、予想に反して、100人もの人がセミナーに参加してくれました。セミナー会場は、「知的財産保護制度について日本から学びたい」という熱気に満ち溢れていました。「学びたい」と本当に思っている人たちの前で講演をするのは本当に楽しかったです。
セミナーには、カンボジア工業手工芸省の上級大臣(日本でいえば、経済産業大臣のような人)も参加し、セミナーの箔をつけてくれました。国を挙げて、知的財産保護に力を入れていこうという姿勢が見てとれました。また、セミナー後には、記念品をいただきました。カンボジアの伝統工芸品で、何かの葉っぱを敷き詰めて作ったキャンバスに、焼きごてで描いた絵画だそうです。すばらしいですね。
1つ、面白いやりとりがあったので、紹介しておきます。日本弁理士会のセミナーの後、以下のような質問がありました。「カンボジアのような知的財産権の発展途上国では、知的財産権侵害の取り締まりを緩くした方が良いのではないか。取り締まりが厳しすぎると、国内の産業が育たないのではないか?」という質問です。これに対して、我々が「知的財産権が適切に保護されないと、誰も安心して投資をすることができず、結果として国内の産業は育たない。したがって、知的財産権侵害の取り締まりを緩くするという考え方はとらないほうが良い」と回答したところ、工業手工芸省の人たちが大いに賛同してくれました。今後も、カンボジアのため、そしてカンボジアに進出する日本企業のために、カンボジアにおける知財保護制度の確立に関わっていきたいと強く感じました。
一仕事した後は、いつものように、ローカルフードを楽しんできました。プノンペン、また行きたい街です。
(商標部門長 T.K.)
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