2022年3月29日火曜日

マサキ珈琲に行ってみた【コメダ珈琲事件 不競法】

 

商標弁理士のT.Tです。

ところで弁理士とは、その登録を維持するため、「継続研修」が義務づけられています(弁理士法31条の2)。先日受講した継続研修は、弁護士が不正競争防止法について解説するもので、そこで「コメダ珈琲事件(マサキ珈琲事件)」(東京地裁 平成27年(ヨ)22042号)が取り上げられていました。 

 「コメダ珈琲事件(マサキ珈琲事件)」とは、日本第三位のコーヒーチェーン「コメダ珈琲店」が、和歌山市の「マサキ珈琲」に対し、不正競争防止法に基づき、店舗の使用やメニューの差し止めを求めた事件です。
 東京地裁は、「
店舗の外装、店内構造及び内装」について、不競法2条1項1号に該当するとして、使用してはならないとしましたが、「商品(飲食物)と容器(食器)の組合せによる表示」については、不競法2条1項1号・2号の「商品等表示」に該当しないとして、差止が認められませんでした東京地裁 平成27年(ヨ)22042)。
 なお、この判決は、意匠法の大改正(2020年)でも導入された「建築の意匠」や「内装の意匠」においても、重要な意義を持っています。
(写真:マサキ珈琲の外装と内装 平成27年(ヨ)22042号より引用)

さて、この継続研修の受講中ふと、店舗の使用を差し止められた「マサキ珈琲」はどうなったのだろうと、気になり調べてみたら、どうやら「商品(飲食物)と容器(食器)の組合せによる表示」については使用が禁止されなかったためか、未だ和歌山市で、名古屋インスパイア系カフェとして営業を継続しているようでした。(公式ウェブサイト

そこで、弁理士継続研修の復習も兼ね、「マサキ珈琲」へ、ディナー&モーニングを堪能しに行きました。 

 

その場所は「宮前駅」、和歌山駅からJR紀勢本線で一つ南隣です。
 宮前駅を出ると、目の前を県道13号(陸橋)が横切っているので、それに沿って東へ進むこと約5分、右手に「マサキ珈琲(本店)」が見えてきます。(なお、2号店(福島店)は南海電鉄の紀ノ川駅近くにある。)



 
 もちろんですが、「マサキ珈琲」の外装や内装は、ログハウス風ではなく、改装されて普通のファミレス風(?)になっていました。



 

そんなファミレス風の店舗内で早速、「ミックスジュース」(550円)、「ミソカツサンド」(820円)、「ロンドマール」(580円)を注文しました。

 

「ミックスジュース」は、どこか見たことあるカワイイ容器に入っており、容器にはマサキ珈琲のロゴが付されています。ミックスジュースを注文すると、厨房からミキサー音が鳴り響くので、生フルーツから作り立てのようです。味は、バナナが強めです。

「ミソカツサンド」は、さすが、デカ盛の聖地である名古屋をインスパイアするだけあって、巨大でした。
 下の写真からは伝わり辛いですが、いわゆる「逆写真詐欺」というやつを発揮していました。一応、切り分けられていますが、それでも大きすぎるので、さらにナイフで切らないと食せません。

 

「マサキ珈琲」が最もウリにしているスイーツが「ロンドマール」です。
 その外観は、一見「ミニシロノワール」と類似しています。しかしながら、「ロンドマール」は「シロノワール」シリーズと異なり、切り分けられていないため、ナイフを使わないと食せません。また、使用している生地も、デニッシュではなく、ブリオッシュであるため、しっとりした食感です。
 なお、「シロノワール」は商標登録されていますが(登録4490309号、登録5194274号)、「ロンドマール」は商標登録されていません。
 

そして、「マサキ珈琲」の大ファンのために、お得なコーヒーチケット(6枚綴り2250円)も用意されています
 私も、ある種「マサキ珈琲」の大ファンかもしれませんが、いかんせん和歌山は手軽に行ける距離ではありません。そのため、持っていても一生で使い切れそうな気がしなかったため、コーヒーチケットの購入は断念しました。

(写真:マサキ珈琲メニューより引用
 

「マサキ珈琲」でディナーを堪能した翌朝も「マサキ珈琲」に来店。名古屋スタイル喫茶店の特徴であるモーニングサービスを楽しむためです。
 「マサキ珈琲」のモーニングサービスでは、ドリンクを注文すると、トースト(全4種)が無料オマケでついてきます。私は、ピザトーストを注文しました。

 

無料オマケといえば、名古屋スタイルの喫茶店は、ドリンクのオマケにおつまみがついてくることを特徴としています。もちろん、「マサキ珈琲」でもドリンクを注文すると、豆菓子が付いてきます(モーニングサービス時間帯は除く)。

この豆菓子、持ち帰り用に販売もされており、一袋10です。うまい棒ですら物価のインフレに耐え切れず12円に値上げしてしまった昨今、こんな面白商品がたった10円で買えてしまうのです!

そういうことで、記念に大量購入しました。100個購入しても合計1000円。下手なお土産を購入するよりも遥かにコスパが良いです。これは、ミカンに次ぐ和歌山の新名物であること間違いなし!


2022年3月8日火曜日

伝説の知的財産剣(?)「ドラゴン・ソード(原告版)」をゲットだぜ!【不競法2①3】

 

 商標弁理士のT.T.です。

突然ですが、自宅のカギに取り付けていたストラップがぶっ壊れました。 

 さすがに見栄えが悪いので、新しくキーホルダーを取り付けることに。キーホルダーといえば、そこは弁理士らしく「ドラゴン・キーホルダー事件」のキーホルダーとかいかがでしょうか? 

ドラゴン・キーホルダー事件」とは、被告が製造・販売するキーホルダーが、原告の製造・販売するキーホルダーの形態を模倣したとして、不正競争防止法2条1項3号(商品形態模倣行為)等に基づいて、差止・損害賠償等を請求した事件で、東京高裁は、原告商品が「頭部が一個の通常の竜」であることに対し、被告商品の「双頭の竜」が向き合ったデザインは、「独自の形態的な特徴」を有し、両者の大きさも相当違いがあるといった理由から、両者の形態が酷似しているとまでは認め難く、実質的に同一であると認められないとして、請求を棄却しました(東京高裁 平成8 () 6162)。


(左:原告商品 右:被告商品)

つまり、原告「ドラゴン・ソード」が、被告「ドラゴン・ソード」に対し勝負を挑み、不競法2条1項3号に基づき権利行使しようとしたところ、不発に終わったことから、タイトル通り、「伝説」というか・・・もはや「幻」の知的財産権(剣)になってしまった訳です。

ところで、「ドラゴン・キーホルダー事件」(東京高裁 平成8 () 6162号)は、平成一桁台と、まあまあ古い事件のため、その痕跡を追うことが大変です。

調べた限り、被告の方は、社名を変更し、現在はご当地キティ―を中心としたサンリオグッズを専門に取り扱っているようで、「ドラゴン・ソード」キーホルダーを販売している様子は伺えませんでした。原告に至っては、会社自体が現存しているかも不明

つまり、原告版・被告版共に「ドラゴン・ソード」キーホルダーは絶版なのです。即ち、タイトル通り、「ドラゴン・ソード」キーホルダーは、判決文上でしか存在しない「伝説の剣」になってしまった訳です。
 そうすると、「ドラゴン・ソード」キーホルダーを購入することは不可能なのでしょうか?

いいえ、そこで借りたのがシェアリングエコノミーの力、メルカリです。
 私の経験上、伝説の書籍「特許法概説 第13」(著者:吉藤 幸朔)や「商標法 第6版」(著者:網野誠)ですら、メルカリで購入できたのだから、伝説の「ドラゴン・ソード」だってメルカリにあるはずに違いないです!

そんな宝探し気分でメルカリを探っていたら、原告版「ドラゴン・ソード」を発掘しました(「値下げ◇キーホルダー 昭和レトロ 龍剣+龍 2個セット」)。他の弁理士に先取りされる前に即購入し、オマケのキーホルダー付き、送料込みで、400でした。実質127.5(=(400円-送料145円)÷2個)。伝説の剣とは?


(写真:ドラゴン・ソードとおまけ)

改めて、私が購入した「ドラゴン・ソード」と、判決文の原告「ドラゴン・ソード」を比べてみると、双刃の洋剣や、それに螺旋状に巻きついた竜の形状は、完全一致しており、「縦約六・八センチメートル、横最大幅約二・七センチメートル」の大きさも一致しています。

 ただし、一致していない部分もあり、原告商品には、紅色のガラス玉が、私の「ドラゴン・ソード」には、蒼色のガラス玉がはめ込まれています。また、原告商品は、「金属的光沢を有する黒味を帯びた銀色」のようですが、私の「ドラゴン・ソード」は、キンキラ金色です。さらに、本体とリング部を結合する「連結部」もよく見ると違います。

もしかして、私が購入した「ドラゴン・ソード」は、正真正銘デッドコピーなのか?それとも、ポケモンでいう色違いのレアものなのか?

ちなみに、「ドラゴン・ソード」の購入場所について、メルカリ出品者に質問しましたが、貰い物だったので分からないとの返答が来て、その出所は追えませんでした。せっかく、キーホルダーとして使用する他に、コレクション用にもう1個入手しようと思っていたのに、残念。

そういうことで早速、購入した「ドラゴン・ソード」を鍵に取り付けました。これで、「伝説」のドラゴン・ソードを装備した弁理士であるT.T.は、伝説の弁理士の称号を手にしたといっても過言ではない!

・・・・・・・と名乗るのは、あと50年早い!

T.T.


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