2017年5月30日火曜日

♪国際会議 INTA @バルセロナ♪

弁理士M.K.です。

520日から24日までスペイン・バルセロナで開催された国際商標協会(INTA)の年次総会に参加してきました。

INTAは、世界中の弁理士・知財を専門とする弁護士が集まる国際会議です。今年の参加者は約1万人だったそうです。商標弁理士だけでなく、特許弁理士も参加します。創英からは8名(特許部門5名、商標部門3名)が参加しました。創英では、知財業界のグローバル化に対応するために、国際会議への派遣、米国特許事務所での短期滞在(特許、意匠のみ)、フィリピンでの語学特訓、などを継続して行っています。私は、これまでにワシントンD.C.での米国商標実務研修、フィリピンでの語学特訓に参加させて頂きましたが、国際会議は今回が初めてでしたので、若干緊急しました。
 
期間中は、バルセロナの繁華街からタクシーで30分ほどのところにあるコンベンションセンターで、取引先の現地代理人やクライアントとミーティングをしました。
                   <会議場の様子>
 
ミーティングでは、近況報告や、進行中の案件のディスカッション、最近の実務の傾向などを話し合いました。また、ネットワーキングのために、市内のホテル、レストラン、クラブ等で、事務所主催のレセプションや、ランチ、ディナー、ダンスパーティーも開かれます。私は、5日間で約40件のミーティング、15件のレセプション、ディナー等に参加しました。朝9時から夜中までフル稼働です!
 
残念ながら観光する時間はありませんでしたが、宿泊していた繁華街からコンベンションセンターまでのタクシーから毎日、街並みを楽しみました!
 
<タクシーからの風景>
 
また、レセプションは、ホテルのルーフトップテラス、美術館のレストラン、海辺のクラブ等、主催事務所ごとに個性的でしたので、フリータイムが無くても十分楽しむことができました。
 
                 <レセプションでのフラメンコ>


              <パーティー会場のルーフトップテラスから見たカサミラ>

特に印象的だったのが、地元バルセロナのIsern事務所が主催したレセプションです。
なんと、観光名所カサ・バトリョ(ガウディの建築した邸宅)のルーフトップテラスを貸し切った豪華なレセプションです!観光旅行では、こんな経験できません!
                 <カサ・バトリョ!>

           <Isern事務所、所長のホルヘさん、担当者のヌリアさん>

実は、写真に写っているIsern事務所のお二人は、2か月前に創英東京オフィスに来られ、一緒に食事をしました。そして、今回バルセロナで再会です。こうした現地代理人との交流は非常に楽しいですし、仕事をする上でも重要だと思います。

レセプションでは、豪華なローカルフードも楽しみました。
                   <定番のパエリヤ>
                      <生ハム>
非常に有意義な1週間でした。

(弁理士M.K.

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2017年5月19日金曜日

ASEAN IPA Annual Conference inマニラ!

 

初めまして。商標部門の弁理士のIです。
 
創英では、知財関連団体の国際会議に参加させてもらえる機会がありますが、先月、その一つであるASEAN知的財産協会(ASEAN IPA)の国際会議に参加して参りましたので、そのご紹介です。
 
知財関連団体の国際会議と言えば、INTA(国際商標協会)、AIPPI(国際知的財産保護協会)、APAA(アジア弁理士協会)などが良く知られていると思いますが、ASEANの知財関連団体であるASEAN IPAも、毎年、国際会議(年次大会)を開催しています。今年は、フィリピンのマニラで開催され、当該大会に初めて参加して参りました。

 
 
会議の様子


ASEAN IPAの年次大会は、近年AIPPIASEAN地域会合とセットで行われており、その両方に参加しましたが、いずれも参加者全員が会議に参加し、様々なテーマで発表されるスピーチを聞きつつ、着席したラウンドテーブルを中心に、参加者同士が交流を深めていく形が主流といえる会議でした。参加者は220人程度と程よくコンパクトであり(日本からの参加者は7,8人程度と思われます)、会議の他、ランチ、ディナー等にて、あたたかいホスピタリティを受け、ホスト国であるフィリピン代理人を中心に、多くのASEAN各国代理人と交流を深めることができ、大変有意義でした。特に、Eメール等にて仕事上やりとりのある代理人と直接顔を合わせられることは、普段の仕事を円滑に進めて行く上で本当に大きなメリットです。

 
 
ミャンマーチームによる歌・踊り(ディナー)
ちなみに、会議のタイムテーブルは、あってなきようなものであり、初日のAIPPIの会議は1時間遅れでスタート、スピーカーのスピーチ時間もきちんと管理されておらず、スケジュールはどんどん遅れていくといった状況でした...これもASEANならではの良い経験ですかね。


マニラの名所も少々(リサール公園)
(マニラ大聖堂)
 

来年は、カンボジア開催の予定とのこと、また参加の機会をもらえるよう、日常業務をしっかり頑張ろうと思います。


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2017年5月16日火曜日

良いパロディと悪いパロディ

皆様こんにちは、弁理士のM.T.です。
最近このブログは副所長の美食日記になっていてけしからん、というお叱りを受けたわけではありませんが、商標部門のブログらしく、商標についても少し語ってみたいと思います。

商標部門では毎月「審決研究会」を行っています。これは、特許庁が商標について出した決定の中で興味深いものを取り上げて紹介し、議論を行うものです。先月末は私が発表の担当でしたので、パロディ商標に関する審決を二つ取り上げました。

審決研究会の様子(東京-京都‐福岡の各オフィスをテレビ会議で中継しています)

 一件目は以下のようなものです。この事件では左の商標(本件商標)は「ミシュラン」「MICHELIN」などの商標とは紛らわしいとはいえず、不正の目的があったとはいえないから登録されるべきであると判断されました。

本件商標は「vichelin」「美酒覧」「びしゅらん」の文字を組みあせたロゴです。この商標を登録することに対して、グルメガイドブック「ミシュランガイド」やタイヤで有名なミシュラン社が異議を申し立てた事例です。

本件商標はお酒をレビューするアプリの名称として使用することを意図していたようであり、レストランをレビューしたガイドブックであるミシュランを大いに意識したネーミングといえます。しかし、特許庁は本件商標は登録されるべきと判断しました。


そして2件目です。この事件では左の商標(本件商標)は登録されるべきで「ない」と判断されました。

本件商標は「跳躍する馬の図形」と「Cavallino Lampanti」という文字を組み合わせたロゴです。この商標を被服やかばん類について登録することに対して、スポーツカーで有名なフェラーリ社が異議を申し立てた事例です。

フェラーリ社のエンブレム(上記右)は「跳ね馬図形」と呼ばれており、これはイタリア語で「Cavallino Rampante」(キャバリーノ・ランパンテ)というそうです。本件商標の文字部分はつづりが少し違いますが、非常に似ています。デザインは異なるものの、横向きの馬の図形と「Cavallino Lampanti」という文字を組み合わせたという点で、明らかにフェラーリを意識したものといえます。

特許庁はフェラーリ社が公式グッズとしてTシャツや財布等を販売し、そこで「キャバリーノ・ランパンテ」と表示していることを指摘したうえで、本件商標の登録には不正の目的があったとして、登録できないと判断しました。


上記の2件はいずれも「パロディ商標」といっていい事案ですが、結論は正反対となりました。これはなぜでしょう。争点は色々あるのですが、個人的には、両者の「悪質さ」の程度が決定的な差を生んだのではないかと思います。

「美酒覧」が「ミシュラン」に「あやかった」ことは事実でしょう。しかし、「美酒覧」を見た人が、あの「ミシュランガイド」と間違えることはまずありません。おそらく、「美酒覧」の権利者はユーモアをもった洒落として「美酒覧」というネーミングを考えたと思います。

一方、「馬図形+Cavallino Lampanti」からは特にユーモアは感じません。しかし、フェラーリを知らずに偶然このロゴができたということはまずありえません。それでは、どのような意図をもってこのロゴが作られたのでしょう。

ちなみに私はフェラーリの跳ね馬図形は見たことがありましたが、はっきりとは覚えていませんでした。もし私と同じくらいの知識の人が「馬図形+Cavallino Lampanti」が付された商品を見たら、フェラーリのグッズと勘違いするかもしれません。仮に「馬図形+Cavallino Lampanti」はこのような勘違いを狙って作られた商標であれば、ある種のニセモノを販売するための商標ということになりますので、悪質といえます。もちろんこれは憶測にすぎませんが、おそらく特許庁もこのような印象を受けたのではないでしょうか。

「馬図形+Cavallino Lampanti」をめぐる審決では、全体を通して、フェラーリ社に好意的な判断がされているという印象を受けます。これは、上記のような「悪質さ」の違いによって特許庁の担当者が影響を受けた(=「馬図形+Cavallino Lampanti」に悪い印象を持った)ためではないかと考えられます。


ところで、パロディ商標といえば「フランク三浦」と「フランクミューラー」の間に混同は生じないと知財高裁が判断した事件が記憶に新しいところです。商標の実務を知らない人にとっては、なぜこんな「パクリ」が許されるのか思われたかもしれません。しかし、上記2件の審決を見ればご理解いただけるように、商標法において重要なのは「パクったかどうか」ではなく「悪質なパクリかどうか」なのです。この観点からみると、「フランク三浦」事件は理解しやすいのではないでしょうか。

*実は、「フランク三浦」事件では「悪質なパクリか(公序良俗に反するか)」が争点になっておらず、裁判所はこの点を判断していません。しかし、「フランク三浦」が上記のような意味では悪質とは言えないという点は、裁判官の心象形成にある程度影響しているはずです。

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