商標弁理士のT.T.です。
さて、金曜日といえば、自衛隊ではカレーを毎週金曜に食べる習慣があるとは言いますが、私も金曜の昼食は、創英が入居する「丸の内MY PLAZA」地下のインドカレー屋に行くことが多いです。カレーも好きですが、何といっても、ナンが好きだからです。
そんなインドカレー好きなT.T.からすれば、信じられない商標事件が今年起こりました。それが、第43類「ホストクラブにおける飲食物の提供」と第43類「インドカレー・インド料理の提供」を類似する役務と判断した「HEAVEN事件」です(令和4年(行ケ)10090号)。
「HEAVEN事件」(令和4年(行ケ)10090号)とは、原告が、商願2019-153110「HEAVEN」(第43類「ホストクラブにおける飲食物の提供又はこれに関する助言・相談若しくは情報の提供」等)を出願したところ、先行商標・登録6026916号「Heaven」(第43類「インドカレー・インド料理の提供」)と類似するとして、拒絶審決となり、その審決取消訴訟にて、指定役務の類否等が争われた事件です。
知財高裁は、指定役務の類否について、第43類「ホストクラブにおける飲食物の提供…」は、娯楽サービスの提供(接待等)の面ではなく、飲食物の提供の面から検討するのが相当であるとしたうえで、「ホストクラブにおける飲食物の提供…」と「インドカレー・インド料理の提供」は、飲食物を提供するという点で共通し、当該役務に関する業務や事業者を規制する法律も共通し、役務を提供する業種、役務の提供の手段、目的又は場所、役務の提供に関連する物品、需要者等の範囲が共通し、かつ、同一の事業者が提供する場合もあるから、これらを総合的に考慮すると、本願商標の指定役務と引用商標の指定役務に同一又は類似の商標が使用されたときには、同一営業主の提供に係る役務と誤認されるおそれがあるとして、類似の役務であるとしました。
(結論は、両商標とも類似するとした。)
この判決について、インドカレー好きな一個人から言わせていただくと、ホストクラブを「飲食物の提供」の面から検討したからといっても、流石にいくら何でも、ホストクラブとインドカレー屋では異質すぎて、感覚的に、その出所を混同しないように感じます。
また、判決文によれば、「ホストクラブで、インド料理店勤務の経験もあるシェフが料理を提供している事例」とか、「ホストクラブのオープン前の時間帯にカフェを営業する事例」があるから、ホストクラブとインドカレー屋は、役務の提供場所が一致すると判断していますが、これら事例は、ホストクラブの「一般的・恒常的な取引の実情」というよりは、むしろ、「(超)特殊・限定的な取引の実情」である気がしてなりません。
そこで、百聞は一見に如かず、論より証拠、ホストクラブとインドカレー屋では、本当に出所混同が生ずるのか、この目で確かめてみることにしました。
インドカレー屋といえば、インド人・ネパール人が接客するイメージがありますが、「インドカレーヘブン」も多分に漏れず、インド系もしくはネパール系の男性が接客していました。インドカレー屋もホストクラブも、男性から接客される点では、似ているところがあるかもしれません。ただし、インドカレー屋では、中世的な男性からは接客されませんが。
それは決して、料金が高くてビビッてしまった訳はありません。むしろ、初回利用料金は、60分1000円(サービス料等を除く)とリーズナブルなのですが、その対象者が「初回来店または、半年間来店の無い女性のお客様」となっており、やんわりと男の入店を断っている感じがしたためです。確かに、ホストクラブの性質上、男性客は、女性客よりも利益を上げにくいと思われることから、やんわり断るのも当然でしょう。
やはり、インドカレー好きな一個人からすれば、ホストクラブに行くのは、クリスマスに独りボッチでディズニーランドよりも、非常に難易度が高く、そういう意味では、ホストクラブとインドカレー屋は、出所混同しない気がします!
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