さて、弁理士試験に合格し、弁理士になることは、人生に大いなる変化をもたらすかもしれませんが、「ユートピア」な人生がすぐ待ち受けているかというと、そうでもないと思います。何故ならば、たとえ弁理士になっても、知識と能力の向上のため、終わらない修行の日々が延々続くからです。
しかしながら、人生の「ユートピア」に辿り着くのは難しいとしても、「湯~とぴあ事件」(平成27年(ネ)10037号)の「湯ートピア」には簡単に辿り着くことができます。
何故ならば、被告「湯~トピアかんなみ」は、静岡県函南町に位置し、原告「ラドン健康パレス 湯~とぴあ」は、山梨県甲斐市に位置しているため、頑張れば、東京から電車を使い、日帰りで巡ることができるからです。
知財高裁は、原告商標の下段「湯~とぴあ」部分について、入浴施設の提供という役務において、全国的に広く使用されているため識別力が弱く、上段「ラドン健康パレス」部分も、一般名称的な意味を示すにすぎず識別力が弱い等の理由で、原告商標は全体として一体的に観察するものであると認定し、被告標章も識別力が弱い「湯~トピア」と地名「かんなみ(函南)」の結合である等の理由で、全体として一体的に観察するものであると認定したことから、両者は非類似であると判断し、商標権侵害には該当しないとしました(知財高裁 平成27年(ネ)10037号)。
まず訪れた「湯~トピアかんなみ」(被告)は、静岡県「三島駅」から南へ伸びる伊豆箱根鉄道・駿豆線の「伊豆仁田駅」で下車し、そこから東へ徒歩約20分で辿り着くことができます。
「湯~トピアかんなみ」は、一見、地域にある普通の日帰り入浴施設(利用料700円)といった印象を受けますが、実は、サウナに力を入れているようで、「オンドルサウナ」と、「高温サウナ」の二種のサウナを備えています。
そして、露天風呂も備え付けており、富士山を望むこともできます。ただし、浴槽に浸かりながらの富士山鑑賞は、仕切り壁に遮られてちょっと難しいです。しかしながら、浴槽脇のベンチに座りながらであれば、仕切り壁を越えて、ちょうど富士山を眺めることができます。サウナから上がった後、露天風呂のベンチで休憩すれば、目も心も体も整えることができるでしょう。
ところで温泉と言えば、その温泉のロゴ入りのタオルですね。150円を支払うと、「湯~トピアかんなみ」ロゴ入りの小タオルを手に入れることができます。ちなみに、スタッフさんは、背中に「湯~トピアかんなみ」ロゴがプリントされたTシャツを着ていましたが、こちらは非売品とのことで、商標弁理士としては少し悔しいです。
次に向かった「ラドン健康パレス 湯~とぴあ」(原告)は、「湯~トピアかんなみ」(被告)から一気に北上します。
昼頃に静岡県「伊豆仁田駅」を出発し、駿豆線→JR東海道線→JR身延線→JR中央東線と、途中昼休憩を挟みつつも、乗り継ぐこと約5時間半、夕方には山梨県「竜王駅」に到着しました。そこから南へ徒歩約12分で「ラドン健康パレス
湯~とぴあ」に辿り着くことができます。
「ラドン健康パレス 湯~とぴあ」は、ザ・昭和な雰囲気を残す温泉ホテルであり、開発され尽した丸の内に目が慣れた私としては、何だか懐かしい気持ちにさせてくれます。私、平成ヒトケタ生まれですが。
もちろん、日帰り入浴も可能であり、利用料は700円です。
そして、「ラドン健康パレス」の名のとおり、受付ロビーには、ラドン発生装置が鎮座していました。SFみたいな轟音を唸らせ、浴室へラドンが送られているようです。
浴室は、通常の温泉とラドン温泉の二種類というシンプルな構成ながらも、レンガ造りの壁からなる重厚な雰囲気が、それを感じさせません。泉質は、ツルツル美肌効果があるらしく、その証拠に、浴室の床も手すりもツルツル滑ります。老人と弁理士受験生は注意が必要です。
そして、ラドン温泉とは、上記のラドン発生装置から出たラドンを湯に混ぜたものではなく、密閉された空間にラドンとイオンとオゾンを混ぜた空気を充満させた温泉なのです。しかし侮るなかれ、ややヌルい湯だったにも関わらず、湯上り後、体の芯から熱を発して、ポカポカと温まっている感覚がありました。恐るべしラドン。
なお、「ラドン健康パレス 湯~とぴあ」では、タオルは貸出のみであり、登録3112304号「ラドン健康パレス\湯~とぴあ」ロゴ入りのタオルは販売していませんでした、無念。そのかわり、「湯ーとぴあ」の字がプリントされたトートバッグが売っていたので、記念に購入しました(2000円)。
ということで、今回は「湯ートピア」求め、一日で静岡と山梨を縦断しましたが、やはり、温泉巡りは心と体に癒しを与え、まさにユートピアです。
ただし日帰りとなると、スケジュール的には、朝6時半頃に家を出発し、帰宅が23時半頃になるので、ユートピアではなかったですが。
(T.T.)
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