2021年2月5日金曜日

弁理士口述試験「ラスボスタワー」の歩き方

 新米商標弁理士T.T.です。

先日、1月末に弁理士試験論文式筆記試験の合格発表がありました。合格された受験生の皆様、おめでとうございます。論文試験に合格すると、次は口述試験となり、最終合格まであと一歩ですね♪

 
 口述試験は毎年、芝公園にある「ザ・プリンスパークタワー東京」で行われ、業界では「ラスボスタワー」と呼ばれ恐れられています。ひと昔前の口述試験では、条文一言一句の暗唱が必須で、合格率も6割程であったことから、かつての受験生たちの恨み辛みが伝説となっており、まさに「ラスボス」の風格を示していたといえるでしょう。

 しかしながら、近年の口述試験からは条文暗唱が綺麗サッパリなくなり、試験官もかなり助け船を出してくれるので、合格率も9割を超えました。さらに、令和元年度からは、貸与条文集を開きっぱなしで読みながら回答しても良いこととなり、余程油断するか、緊張しすぎない限りは、落ちない試験となっているはずです。

 例年、口述試験前には、弁理士会の会派や予備校で口述練習会が開催されますが、今年は軒並みオンライン開催と聞きます。特に、「ザ・プリンスパークタワー東京」の同じ会場を貸切って開催される某会派の練習会ですらオンラインとなったことは、受験生には大きな痛手!

 わざわざ試験会場に泊まってみた強者を除き、殆どの受験生が、口述の臨場感を知らぬまま、ぶっつけ本番で挑むこととなるでしょう。

 そこで商標弁理士T.T.が、昨年(令和元年度)の口述試験を受けた経験から、少しでも試験会場の雰囲気を知れたら良いと思い、ぶらぶら日記で紹介させていただきます。(なお、今年は感染予防の観点から、運用が変わっている可能性もありますので、ご了承ください。)


1.試験会場の外観・間取り
 「ザ・プリンスパークタワー東京」は上から見ると、六角形の塔です。塔の中心には、最上階まで突き抜けた巨大な吹き抜けがあり、筒のような構造です。その吹き抜けを取り囲むように宿泊部屋が配置されています。この6階と7階の各宿泊部屋が特実・意匠・商標の試験部屋、そして待合室として使用されます。

 

 宿泊部屋の間取りは、ホテルのウェブサイトでも確認できます。
https://www.princehotels.co.jp/parktower/room/images_static/parktower_park_room25_listLayout1.pdf
https://www.princehotels.co.jp/parktower/room/images_static/parktower_park_room31_listLayout1.pdf
https://www.princehotels.co.jp/parktower/room/images_static/parktower_park_room32_listLayout1.pdf
 実際の試験部屋は、ベッドや机等の備品が取り払われ、窓側に試験官2人用の長机と椅子が、入り口側に受験生用の長机と椅子が、それぞれ配置されています。また、待合室も同様に、15脚程の椅子が置いてあるのみです。

2.受付
 受付開始前には、1階ホテルロビーの椅子で、いかにも弁理士受験生と思われる集団が密になって、参考書を読み込んでいます。
 一方私は、カフェ「ロビーラウンジ」のソファーで、コーヒー片手に優雅に参考書を読んでいました。「ザ・プリンスパークタワー東京」なんて、滅多に来られる場所ではないと思いますので、一生に一度のプチ贅沢も悪くはないと思います。
 ちなみに、地下2階にはローソンもあり、必要ならば飲み物等を買っても良いと思います。

 1階で受付が開始されると、名前と受験番号を確認された後、番号が記載された首下げ札を貰い、6階又は7階へエレベーターに乗るよう案内されます。
 6階又は7階に到達し、エレベーターホールを抜けると、首下げ札の数字をもとに、各待合室へ案内されます。 

3.待合室
 受付時間を過ぎると、待合室の扉が閉められ、試験監督が試験の流れを説明し始めます。その際、封筒が配られ、ケータイ電話等を封印するよう指示もされます。
 
 試験は、待合室から順番に一人ひとり呼び出される形式で進行しますが、名前が呼ばれるまでは、トイレに行くこと、飲み物を飲むこと、参考書を読むことも可能です。


 トイレは、待合室(宿泊部屋)に備え付けられたものを使用し、トイレ入室前には金属探知機で不正をしないか調べられます。また、女性には別室でのトイレが用意されていますので、安心してください。

 4.口述試験の開始
 受付時間経過の20分後、最初の受験生が呼び出されます。写真照会による本人確認の後、待合室を出発し、特許・実用新案の部屋へ向かいます。もう待合室には戻れませんし、トイレにも行けません。

 特実部屋前の廊下には、試験監督が一人待機しており、椅子がいくつか置いてあります。椅子は、自分の前の受験生が終わるまで待機するためのものです。

 自分の番が来たら試験監督の指示に従い、ノックして入室。試験時間は約
10分で、制限時間が近づいてくると、外で待機する試験監督がベル(おそらく卓上で押すタイプ)を鳴らします。ベルが3回鳴ると、いわゆる「C」評価がついてしまいますが、近年の合格率が示す通り、滅多にないと思います。

 特許・実用新案が終わって部屋を退出すると、次は隣の意匠の部屋へ、そして次には更に隣の商標の部屋へと、流れ作業で口述試験が進み、あっけなく終了します。

5.口述試験後の過ごし方


 「ザ・プリンスパークタワー東京」から歩いて約25分、山盛りラーメンで有名な、三田の「ラーメン二郎本店」が近いです。試験日が土曜日(又は予備日の月曜日)の受験生は、寄ってみてはいかがでしょうか?(私は日曜日が口述試験日で、日曜は定休日なので、行けませんでした。)
 口述試験に挑戦した後、今度は山盛りに挑戦するのかとウンザリする受験生もいるかもしれませんが、口述試験後の清々しい気持ちで食べる二郎は、きっと格別にちがいありません!

 また、ラーメン二郎本店の裏手には、慶応大学の法科大学院校舎がそびえ立ち、著作権法の「ノグチ・ルーム事件」の舞台にもなったところです。口述試験では、著作権法は一切出てきませんが、最終合格一歩手前、あの頃の短答試験に思いを馳せるのも良いのではないでしょうか?

(T.T.)



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