2021年4月4日日曜日

~審決紹介~洗剤の形状の識別力

こんにちは。Mです。

4月を迎え、いよいよ春本番となって参りました。ただ、この時期の天敵は花粉ですね。。洗濯をしても、「外で干すのは嫌だな。。」と思われる方も多いのではないでしょうか。

さて、このような前置きになりましたが、本日は、洗剤の形状の識別力について争われた、不服2019-8151を紹介いたします。

 <事件の概要>

審査段階では、3条1項3号に該当すると判断されたものの、審判段階で、3条1項3号に該当しないとして、登録になった事例。

・商標(立体商標):商願2017-108908号、登録第6257915




 ・出願人/権利者:「ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー」(P&G

・指定商品:第3類「洗濯用剤及び漂白剤,洗浄剤(煙突用化学洗浄剤を除く。)、つや出し剤、擦り磨き剤及び研磨剤,せっけん類,食器用洗剤」

 <原査定の要点>

・近年、その指定商品を取り扱う分野において、1回分の数量の使用に適した小分けの容器入りの洗濯用剤等の各種商品が製造、販売されている実情がある。

・本願商標も多少のデザインが施されているが、全体として通常採用し得る洗濯用剤等の収納容器(包装容器)の一形態を表したものと認識し得る。

 ・そのため、本願商標は、単に商品の包装の形状を普通に用いられる方法で表示するにすぎないから、商標法第3条第1項第3号に該当する。

 <当審の判断の要点>

本願商標の構成中、2つの鍵状の図形を組み合わせた図形部分は、左回りで中心に向かう渦状図形を表してなるとも看取できるもので、単なる商品又はその包装の機能又は美観に資することを目的として採用された模様や、商品の機能又は美観上の理由により選択された模様と予測し得る範囲のものではない。

 ・上記図形と同様の模様が、その指定商品を取り扱う業界において、商品の美観又は機能を向上させるためのものとして、取引上普通に用いられている実情は発見できず、さらに、本願商標に接する取引者、需要者が、当該図形を商品の美観又は機能を向上させるためのものと認識するというべき事情も発見できなかった。

 ・そうすると、本願商標は、その図形部分の構成上の特徴を鑑みれば、その指定商品又はその包装の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標ではない。

<まとめ>

意見書や審判請求書では、①本願商標の形状は特徴的であること、②他者が本願商標の形状のような商品の販売はしていないこと、③出願人がCM等で本願商標の形状を積極的に訴求していること、等が主張された結果、本願商標は登録に至りました。

本審決を読むと、①及び②のみがフォーカスされていますが、③についても判断の要因になったものと考えます。本審決を通じ、独特な形状の商品であっても、特許庁で識別力を認めてもらうには、やはり審判請求まで必要になる可能性が高い、と感じました。

今日はここまでです。(D.M)


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