2021年7月3日土曜日

創英コソコソ噂話

こんにちは。

Mです。


自粛期間中、自宅で映画や漫画を楽しむ方が増えたのではないかと思います。

その中でも、やはり「鬼滅の刃」を観た・読んだ方は多いのではないでしょうか。

 

弊所でもブームとなっており、意匠商標部門長のKさんの本棚には、きれいに全巻揃っています(笑)。

さて、このような前置きになりましたが、「鬼滅の刃」に関連する商標出願が話題となりましたので、全集中して、ご紹介したいと思います。

意匠商標部門長のKさんからは、「ブログネタの判断が遅い👺!!!」とお叱りを受けそうなので、急いで書くことにします。

具体的には、キャラクターが着ている羽織のデザインからなる以下の①~③商標について、拒絶理由が通知されました。一方、④~⑥商標には拒絶理由が通知されず、登録査定となっています(①~⑥商標の出願人・権利者:株式会社集英社)。


     商願2020-078058


   
商願2020-078059


   
商願2020-078060



   
商願2020-078061号(登録第6397486号)


    商願2020-078062号(登録第6397487号)


    商願2020-078063号(登録第6397488号)


特許庁としては、階級が「柱」のキャラクターは登録、その他は拒絶と判断したものと推測します。

特許庁の方も「鬼滅の刃」ファンが多いのではないかと思います。


今日はここまでです!(D.M)


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


という冗談はここまでにして、本題に入ります。


通知された拒絶理由の内容を要約すると、、

①~③商標は、図形を連続反復的に配置した構成で、全体として装飾的な地模様として認識されるため、これに接する需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないとの理由で、識別力がないと判断されていました(商標法第3条第1項第6号)。

つまり、①~③商標は、単に、「商品に施される模様(デザイン)」として認識されることから、「商標(出所を表すもの)」とは認識されないと判断された、と考えられます。

また、①~③商標は、比較的単純な模様と思われ(拒絶理由によれば、①及び②商標は、それぞれ「市松模様」「麻の葉模様」と呼ばれている良く知られた模様のようです)、このような模様は、多くの人が使用を欲するものであり、特定人に独占を認めてしまうと、不利益が大きいものと考えます。

このような理由も背景として、拒絶されたのではないかと私は考えています。

 

では、このように拒絶された場合、どのように対応をすればよいのでしょうか。

心を燃やせばよいのでしょうか。


商標法第3条第1項第6号の審査基準によれば、「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるに至っているものについては、本号に該当しないと判断する。」とあります。

よって、この審査基準に従えば、①~③商標を指定商品に使用したことを示す証拠を提出し、使用の結果、①~③商標が出願人の商標(出所を表すもの)と需要者に認識されていることを、意見書や審判請求書で説明するといった対応が考えられます(当該対応を取った後、再度、特許庁が審査・審理を行い、最終的に拒絶するか又は登録するかの判断を行います)。

この点、①商標によく似た登録第4901617号(いわゆるルイ ヴィトンの「ダミエ」)は、①~③商標と同様の拒絶理由が通知されていますが、登録となっています。

 

登録第4901617号(権利者:ルイ ヴィトン マルチェ)

これは意見書及び審判請求書で上述の対応を取ったことにより、特許庁は登録を認めたと推測され、審決では以下のように判断されています。


<拒絶平10-019177

請求人(出願人)は、・・・1888年に、・・・「ダミエキャンバス」または「ダミエ」と称される素材を使用したトランクを発表し、その後、1996年に、・・・前記「ダミエキャンバス」または「ダミエ」を素材とした復刻限定商品を発売し、その後現在に至るまでも、「バック、財布」等多種類の製品を製作、発表している。そして、これらは、「ダミエキャンバス」または「ダミエ」として知られ、人気を博していることが認められる。そうすると、本願商標は、これをその指定商品について使用したときには、これに接する取引者・需要者をして、該商品が請求人(出願人)の業務に係る「ダミエキャンバス」または「ダミエ」であると認識させるから、十分に自他商品の識別標識として機能するものであって、需要者が何人の業務に係る商品であるかを認識することができないものということはできない。したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとした原査定は、妥当でなく、取り消されるべきである。

 

ここまで読んで頂いた方の脳内BGMは、「登録~♪になる~♪理由を知った~♪」かと思います。

現状では、①~③商標について、意見書が提出された事実は確認できませんが、最終的に拒絶査定となるか又は登録査定となるか、注目していきたいと思います。

今日はここまでです!(D.M)

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